メンタリストDaiGoさんと言えば、テレビでよく披露されていた、目隠しをして相手が手に取ったものを当てるあのパフォーマンスですよね。最初に見た時は「超能力だ!」と思いましたが、そうではなくて、メンタリズムの誘導話法を使って誘導したり、心理を読んだりして当てているそうです。本書は、そんなことを可能にするDaiGoさんが、話し方について書かれた入門書になります。
「話が広がらない」という悩みを持つ方におすすめ「それで?それで?トーク」
「まとめ言葉」は雑談や日常会話ではNGワード!
”話し下手”な人の特徴として、「まとめ言葉」を多用するということがあります。
「まとめ言葉」とは、相手の話を聞きながら「つまり~」とか、「要するに~」と言って話を要約しまとめてしまう言葉のことです。
ビジネスなどの場では、こういった「まとめ言葉」はむしろ効果的なのですが、雑談や日常会話では、「話をまとめる」ことは、話題を狭めてしまい、会話にブレーキをかけてしまいます。
これでは、会話を楽しむ雰囲気にはならないでしょう。
「まとめ言葉」を使うと、相手は「この人は無駄話は聞きたくないんだな」と感じてしまいます。
その結果、相手からのコミュニケーションが閉じられてしまい、それ以上深い人間関係を築くことができなくなっていきます。
「それで?それで?」を口ぐせにしよう!
雑談や日常会話では、話をまとめてはいけません。
男性は特に、雑談でも話を合理的かつ効率的にしがちで、女性同士の会話のように、話題がポンポン飛ぶような会話が苦手な人が多いかもしれませんが、雑談や日常会話ではポンポン飛ぶ方が正解です。話をどんどん広げていくべきなのです。
話を広げていって、相手になるべく多く色々なことを話してもらうと、相手は「この人はどんな話題になっても聞いてくれる人だ」と思い、信頼感が増し、さらにたくさん話してくれるようになります。
今まで、「つまり・・・」や「要するに・・・」が口ぐせだった人は、その口ぐせが出そうになったら、状況をみて、「それで?」と言い換えるようにしてみましょう。
好きな相手と手っ取り早く仲良くなるには?「タイム・ミスディレクション法」
まずは相手をリサーチ!
好きな相手と仲良くなるために活用する「タイム・ミスディレクション法」では、まず、相手のリサーチをすることから始めます。
これは特に難しいことではありません。
相手がどういうキャラクターで、どのような性格で、どんな価値観を持っているか、できる限りでいいので、情報を集めます。
この時、友達関係の中にある相手なのであれば、別の友達や知り合いから聞いてもいいのですが、そういった方法を取れない場合、簡単でオススメな方法があります。
それは、事前にその相手と話して、相手のことについて聞いてしまうという方法です。
手に入れた情報を相手に聞こえる状態で、別の人に話す。
相手についてリサーチして得た情報、性格や価値観を、自分のこととして、直接相手に言うのではなく、相手に聞こえる状態で、別の人に向けて話します。
「オレってこういう〇〇な感じ好きなんだよね」と話していると、側で聞いている好きな相手は、「わたしもそういう感覚あるなぁ。この人気が合うかも」と親近感を持ってくれるという寸法です。
その話題で盛り上がっていれば、会話に入ってきてくれて、その場ですぐに仲良くなれるかもしれませんし、その場ではすぐに仲良くなれなくても、このテクニックを使用していれば、そのうち必ずその相手と親しくなれるチャンスは巡ってきます。
なにせ相手からしてみれば、自分とよく似た性格だったり、好きなものも同じだったりするのですから、「話してみたい」と思って当然なのです。
相手から聞き出したら意味ないんじゃない?いえ、大丈夫です!
リサーチの段階で、相手から相手のことを聞き出してしまえばいいと書きました。
でも、そんなことしたら、「この人この前私が話したこと話してる。きもちわるい」と思われたりしないの?と、思われる方もいらっしゃるかもしれません。
ところが、その心配はいりません。
人間というのは面白いもので、出身地や好きな食べ物など、具体的で事実にもとづく内容については、誰とどんな話をしたか覚えていますが、自分の性格や価値観など、常に揺れ動いていて、自分でもはっきりこうと言えないことについては、時間が経つとそういう話をしたこと自体が曖昧になってしまうものなのです。
これこそが「タイム・ミスディレクション法」です。
上手くいきそうだと思ったら、また、相手の前で別の人との会話の中で使う機会がなかったら、直接相手に「キミの性格って、こうでしょ?」と指摘してみましょう。
相手は、自分のことを見抜かれたように感じ、「私のこと、わかってくれてる」と思うはずです。
相手をだますようで気が引けるという人もいるかもしれませんが、まずは好きな相手と仲良くなる機会作りをするために、活用してみてください。
絶対的な信憑性を付加して伝えたいことを相手の心に刷り込む「言わないでトーク」
鶴の恩返しの心理
ここで紹介する「言わないでトーク」とは、要するに「鶴の恩返し」に出てくる「のぞいちゃうおじいさん」の心理を逆に利用するテクニックです。
鶴の恩返しという民話については、皆さんご存知かと思いますが、ストーリーを簡単に紹介します。
1 おじいさんが鶴を助ける。 2 おじいさんの家に美女が訪ねてくる。(正体は鶴) 3 美女はしばらくおじいさんの家で暮らす。 4 美女はお世話になったお礼に、反物を織るけど絶対に見ないでと言う。 5 おじいさんは我慢できなくて見ちゃう。 6 正体がばれた鶴は、飛び去ってしまう。
この「鶴の恩返し」を子どもの頃に読んで、誰もが「何でのぞいちゃうんだよおじいさんっ!!」と憤ったと思います。
しかし、人には「絶対にしないで」と言われるとしたくなる心理があるのです。このおじいさんだけではありません。この心理を逆に利用するのが、「言わないでトーク」です。
「言わないで」と言うことで言わせる
誰でも、「ここだけの話なんだけど・・・」とか「誰にも言わないでほしいんだけど・・・」と言われ、思わず誰かに言いたくなったという経験があると思います。
「絶対にしないで」と言われるとしたくなる心理を利用することで、逆に、伝えたいことを他の誰かに伝えてもらうことができます。
例えばAさんに対して、日頃感謝している気持ちを伝えたいとします。しかし、面と向かってそんなことを口に出す間柄でもないし、直接伝えれば冗談かなにかだと思われてしまう恐れがある場合、第三者のBさんを利用します。
Bさんに対して、「他の人には言わないでほしいんだけどさ、Aってほんと良い奴だよな。俺、実はいつも感謝してるんだ。まぁ、Aには絶対言えないからさ、ここだけの話にしてくれよ」と伝えます。
そうすると、「言わないで、ここだけの話にして」と規制を受けたBさんは、「誰かに言いたいな」という心理が働いてしまいます。
この状態でBさんがAさんと話をする機会があれば、そのことを伝えてしまう可能性が高いのです。
絶対的な信憑性が付加される
このテクニックの真髄は、上記のような伝わり方をすると、信憑性が格段に高まるというところにあります。
想像してみてください。知り合いに直接、「お前には感謝してるよ」と言われるのと、別の知り合いから「あいつ、お前には感謝してるっていつも言ってるよ」と言われるのでは、感じる真実味が全く違いますよね。
誰かを褒めたいとき、ポジティブなメッセージを届けたいときなどは、本書で紹介されているこの「言わないでトーク」を活用して、より効果的に相手に伝わるようにしましょう。
好きな人の本音を聞き出す誘導操作「第三者トーク」
第三者トークとは?
このテクニックは、前回の記事で紹介した「言わないでトーク」と同じ「二次元コミュニケーション」と呼ばれるものです。
つまり、自分以外の誰か(第三者)を使って目的を達成するテクニックです。
「言わないでトーク」は、自分が相手に伝えたいことを、第三者に伝えてもらうように誘導するテクニックでした。
「第三者トーク」では、自分が直接相手に伝えることになります。実際に第三者に動いてもらうものではないので、その場ですぐに使えるテクニックです。
第三者トークの使い方
「第三者トーク」の実際の使い方について、紹介します。
「第三者トーク」を使用するシチュエーションは、本音を聞き出したい相手と話をしている時です。
例えば、好きな相手に好きな人がいるかどうかを聞き出したいとします。
そんな時は、このように言います。
「〇〇さん(相手)って、俺の友達の中でも人気あるんだけど、好きな人とかいるの?」
多少チャラい感じもしてしまいますが、相手にとっても内心嬉しいはずの情報なので、悪いイメージにはならないと思います。
このように、第三者の誰かが知りたがっていたことにして聞けば、相手も、目の前の人に直接好きな人がいるのか聞かれた場合よりも答えやすいですし、自分が相手に好意を持っていることに気付かれずに、聞くことができます。
第三者トークの応用
「言わないでトーク」でも紹介したように、第三者から伝わる情報には、真実味があります。
なので、いろいろな場面で、「第三者トーク」を応用して、円滑なコミュニケーションを図ったり、効果的に相手にメッセージを伝えることができます。
『(先輩・上司に対して)いつも同期で話しているんですが、〇〇さんのようにスピーディーに仕事をするには、どうしたらいいのか教えてくださいませんか?』
『(後輩・部下に対して)〇〇課の若い職員が、取引先に態度や服装を注意されたそうだよ。うちの課も気を付けないとだな』
このように、直接的なメッセージでは、遠慮されたり効果的に伝わらなかったりしそうなことがあったら、「第三者トーク」を使う機会です。
終わりに
心理学の本はたくさんありますが、中でもDaiGoさんの本は、初心者でもわかりやすく、身近なケースについて寄り添って書かれていると思います。
心理学を学ぼうという専門的な姿勢ではなく、「相手を意のままに操る話し方なんて、なんか面白そう」という軽い気持ちで読めて、それでいてとても実用的な、実は専門的な知識が学べてしまっているところが、著者のすごいところだと思います。
これも、どこかメンタリズムの力が働いているんでしょうか?
ともあれ、本書では、今回紹介した以外にもたくさんの「話し方」についてのテクニックが載っていますので、紹介した中で一つでも面白いと思えるものがあったなら、読んで損はしないと思います。
ぜひ、ご一読されることをオススメします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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それでは、また別の記事でお会いしましょう。
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