コーラかペプシのどちらか一方のみが好きだという人の好みは、あまり当てにならないという結果が出た目隠し味テストについて、紹介していきます。イメージが脳に錯覚を起こし、味覚に影響するという興味深い追跡実験も行われています。
テストの第一段階
第一段階では、協力者にコーラとペプシを、ブランドを隠して飲み比べてもらい、おいしいと思う方を選んでもらいました。
約半数の人がコーラの方を選び、残り半数の人がペプシの方を選びました。
この協力者に、普段どちらのブランドを買うことが多いかを尋ねると、コーラとペプシが半々に分かれました。
ここまではいいのですが、テスト結果と質問の結果を分析したところ、普段買っているものと目隠しテストでの好みが一致した人は、ほぼ半数しかいなかったのでした。
研究者たちにとっても意外な結果となり、このテストは繰り返し行われました。どうやら、何度やっても同じような結果がでたようです。
テストの第二段階
協力者に、fMRI(脳の反応を見るもの)での調査に協力してもらいました。
その結果、協力者が好きだと思っている飲み物を飲んでいるときの方が、脳が活発に動くことがわかりました。この反応を示した脳の部位は、おいしいと感じたりする、基本的報酬の評価と関係するところです。
テストの第一段階では、おいしいと答えたものと、ふだんの好みが一致しなかった人が約半数いたことと合わせて見てみると、好きだと思っている飲み物を飲むとき、純粋に感覚的に「おいしい」と感じているというのは、面白い結果だと思います。
追跡実験
もう一度協力者にコーラを何度か飲んでもらい、その様子をfMRIでモニターしました。
協力者には、飲んでいる炭酸飲料の種類は教えませんでした。
まず協力者には、コーラ缶のイメージを見せてから炭酸飲料を飲んでもらい、次に、色とりどりの電球のイメージを見せてから飲んでもらいました。このとき、協力者には、見せているイメージは飲んでいる炭酸飲料とは無関係だと告げました。
この結果、実際には全員同じコーラを飲んでいたにもかかわらず、75%の人が、コーラ缶のイメージを見てから飲んだ味の方がおいしいと答えました。
コカ・コーラ社は、こういったイメージの大切さを重要視しており、イメージ戦略を数多く打ち出しています。
日本でも、クリスマスの時期になると、コーラのハッピーなCMをよく目にします。皆さんも、コーラの真っ赤なラベルとCMの影響で、クリスマスの幸せな雰囲気とコーラには密接なイメージを持たれているのではないでしょうか。
このfMRIでのテストでは、コーラのイメージを目にしただけで、脳が反応するという結果も出ています、対してペプシでは、イメージだけでは脳の反応は見られなかったそうです。
それだけ、コカ・コーラ社のイメージ戦略は成功しているということでしょうか。
世界的な資産家であるウォーレン・バフェット氏は、「コーラを飲んで得られる幸福感は、健康上の利益に勝る」と発言されているそうです。
バフェット氏だけではなく、コーラ好きな人たちはみな、コーラを飲むと幸せになれるのでしょうが、この幸福感とは、コーラの味だけに起因するものではなく、広告やイメージ戦略によって刷り込まれた条件反射のようなものであるようです。
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それでは、また別の記事でお会いしましょう。
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