9月13日昼過ぎ、私はこれまで経験したことのない山道を車で走っていた。
ナビの画面に表示されているその道は、180度のUカーブをいくつも重ねていて、蛇を絵に描いたような形をしている。
戸隠神社に行った時もこれほどまでのくねり具合ではなかった。
やはり、私史上1番の山道である。
隣の助手席では、妻が寝ている。
妻は長年病気を患っていて、人の半分の体力もない体であるため、旅行の移動中はだいたい寝ている。
もし起きていれば、妻は確実に車酔いしていたであろう。
運転している私ですら、少しクラクラしてきているのだから、間違いない。
そんなことを考えながら、私は榛名神社へと向かう。
BGMは、「Suchmos」だ。
途中、榛名湖を視線の端に一瞬捉えながら走っていると、榛名神社に着いた。
榛名神社に1番近い駐車場に車を停める。
車外に出ると、霧雨が降っていることもあり、思っていたよりも寒い。
シャツ1枚では震えがくるほどの寒さだ。
自前の傘が1本しかなかったため、相合傘で行こうとすると、すれ違ったおじさんが「この店で傘借りれるよ」と教えてくれた。良い人がいるものだ。
お店で傘を借りて、参道を登り始めた。
登り始めて10歩もしないうちに、私のお腹が冷えに負けてゴロゴロしてきた。
「ちょっとお腹痛くなってきたかも」と言っても、妻はいつものことだと気にもしない。
私は過敏性腸症候群であるため、少しストレスがかかるだけですぐにお腹を壊すのだ。
幸い、境内の地図を見ると、参道の途中にもトイレはあるようだ。
山のトイレは綺麗ではないだろうし、ウォッシュレットもないだろう。
しかし、来た道を戻ってお店のトイレに入っても、おそらくウォッシュレットはなさそうだ。
ならば、進むしかあるまい。
私は心を決め、歩みを再開した。
榛名神社については事前に全く何も調べてしなかった。
名前は聞いたことあるなぁ、という程度の認識だった。
実際は、すごかった。
参道は木々に囲まれている。太い杉の荒々しいような木の肌が目に入る。
脇には川が流れ、その向こうには生い茂った草木の間から岩肌が見えた。
自然の中にいると感じた。
岩山の間を縫って、参道が作られている。
榛名神社は古くからある神社だということだから、大昔の人はこの道を、整備されていないこの自然の中を歩いて参詣したのかと考えて驚いた。
参道の途中には、何故かはわからないが、七福神の像が1体ずつ置かれていた。
台座込みで人より大きい、結構な大きさの像だ。
それだけでもご利益がある気がした。
そして、あることに気がついた。
便意がおさまってきているのだ。
荘厳で雄大な自然に囲まれて、私の胃腸もリフレッシュせざるを得なかったらしい。
参道の途中にあるトイレはスルーした。
今の私に、汚い山のトイレで用を足す必要はない。
どうやら榛名神社には、私の過敏性腸症候群を凌駕するパワーがあるらしい。
次回へつづく
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