野生のアフリカゾウの平均寿命は56歳ですが、動物園で生まれたゾウの平均寿命は、17歳だそうです。このように、動物園での飼育は、野生より生活条件が良いにも関わらず、寿命を縮めることも多いのです。その原因の一つは、心理的な悪影響、つまりストレスにあるようです。
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1994年、動物園で飼育されているホッキョクグマが、プールを延々と往復してひたすら泳ぎ続けるという異常行動を見せました。
その行動は、神経症の症状とみられ、診察にあたった動物行動学者は、そのホッキョクグマには、本能を発揮できるような課題や機会が必要だという診断を下しました。
そのホッキョクグマは、動物園で飼育される中で、野生に比べて、自分がどこでどうやって時間を過ごすか、自分で選択するという機会を奪われて過ごしていました。そのことが、ホッキョクグマにストレスを与え、神経症の症状をみせるに至ったのでした。
同じように、実験用のネズミやペットのハムスターにも、神経症習癖である、異常な毛繕いなどの行動がみられることがあります。
そしてこういった行動は、一般的な抗うつ剤の一種を投与することによって、軽減または消失することがわかっています。
つまり、動物園の動物の寿命が短い原因は、選択する機会を奪われていることにある。と言えるようです。
動物園の各ブースは、そこで飼育されている動物たちの野生での生息環境をできるだけ忠実に再現しようとしていますし、快適さを追求しています。
しかし、どんなに進んだ動物園であっても、動物が野生で経験するような刺激や、自然な本能を発揮する機会を与えることはできていません。
私は、動物園は好きですし、動物とふれあうのも好きです。なので、動物園を否定する気はありませんが、これを読んで、難しい問題だなと感じました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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それでは、また別の記事でお会いしましょう。
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