現在劇場公開中の「アルキメデスの大戦」を観てきました!
主演の菅田将暉さん演じる主人公「櫂直(かい ただし)」の天才っぷりがかっこいい!
数学の天才、櫂直の魅力
主人公の櫂は、東京帝国大学数学科で学んでいた、日本トップランクの数学的能力を持つ若者です。
あることから、帝大を退学になり、家庭教師の仕事もクビになり、自暴自棄になったわけではないですが料亭で豪遊しているところで、山本五十六と出会い、人生が変わっていきます。
そんなこんなで、海軍の特別会計監査課の課長となり、戦艦大和建造を阻止するため、大和建造案の不正や穴を見つけるため、数学を武器に立ち向かっていきます。
櫂は、数学科で学んだ数学の天才と作中でも言われていますが、それ以外にも速読術や記憶術にも秀でているようですし、多少変人ではありますが、人格的にもすぐれていると感じました。
まさに、正義のヒーローって感じです。
櫂の魅力は、その天才的能力だけではありません。
むしろ、最も重要なのは、感情的な解釈や常識の盲信などを絶対にせず、完全公平に数値を扱う姿勢です。
当時の日本は、「日露戦争で強国を打ち破った俺たちすごい!」という思いと、「日本には神の風が吹くから、日本に都合の悪いことは起きない」という盲信迷信が蔓延っていました。
国民はおろか、戦力の彼我を知っているはずの軍の人間も、(少なくとも作中では)「戦えばなんだかんだ勝てる(勝てると信じたい)」と思っていたようです。
しかし櫂は、日本とアメリカなどの列強との国力差からいって、「勝てるわけがない!」と一蹴してしまいます。当時「日本が負ける」的な発言をすれば、非国民となじられる世情で、そうはっきり言ってのけられるところが、櫂の主人公としての魅力だと思います。
池井戸作品っぽさもある
櫂は、山本五十六に頼まれて、戦艦大和の建造を阻止するために動くわけですが、当然、大和建造派には面白くないわけで、様々な妨害にあいます。
大和建造派は、「海軍の本懐は艦隊決戦!」という古い考えですし、戦艦建造案が通れば自分たちの地位も守られます。さらには企業との癒着もあったりして…
とにかく、どう見ても合理的ではない選択を、自分たちの利益のために押し通そうとする悪い奴らと、それに対抗する正義という、半沢直樹シリーズなどに見られる池井戸作品っぽさのある作品なのです。
さらには櫂が取り組む問題に必要な資料は、そのほとんどが機密情報となっていて、見ることすらできないという最初から八方塞がりな状態から、出来ることを細々とやったり、人を伝って突破口を見出したりという展開も似ています。
そういった視点からも面白い作品でした。
田中少尉が見せてくれる人間味
櫂の特別会計監査課に、櫂のお手伝いとして配属されるのが、柄本佑さん演じる田中少尉です。
田中少尉は、最初は「ザ・軍人」という感じの人柄で登場します。
自分より年下の櫂の下に配属され、内心不満そうながらも、軍は絶対的な階級社会のため、表面上は櫂を立てるように振る舞います。
櫂が問題に取り組み始めた当初も、能面のような無表情で、「それは無理です」「それは機密情報です」と言うだけ。
しかし、櫂の天才的な能力や情熱に感化され、櫂を畏敬していくとともに、自らも「やる前からできないではなく、やれる方法を這いつくばっても模索する姿勢」を身につけていきます。
最初は氷のように冷たい男だったのが、炎のように熱い男に変わっていく。
その田中少尉の変わりようの中に、人間味の面白さが込められていて、観ているこっちも田中少尉の気持ちの変化と一緒に盛り上がっていけるような感じがしました。
櫂は天才的すぎて感情移入できないので、観ている人が感情移入する先として田中少尉がいるのかもしれませんね。
まとめ
以上、「アルキメデスの大戦」を観てきた感想を、なるべく核心的なネタバレをしないように書きました。
特に私は、この映画の価値は、ラスト10分のクライマックスシーンにあると思います。
そこで語られる「大和が建造されたほんとうの理由」に鳥肌が立ちました。
そういう解釈もあるのか!!と。
これはかなり良いどんでん返しでした。
そこだけでも、観る価値があります。
戦前戦中の映画なので、そういう作品は苦手という方もいらっしゃると思いますが、戦争シーンなどの悲惨なシーンはごく一部のみしかなく、あとは菅田将暉くんが活躍するエンターテイメントとして観られる映画なので、心配ありませんよ。
ぜひ、ご覧になることをオススメします!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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