【狐火の家(狐火の家)/貴志祐介】あらすじ・感想

読書感想

どうも、塩ラーメンです。

今回は、貴志祐介さんの防犯探偵榎本シリーズ2作目「狐火の家」のあらすじと感想を書きます。

「狐火の家」は、中編が4つ収録された文庫で、狐火の家はその一つ目の作品です。

 

 

 

狐火の家のあらすじ

 

舞台は長野県荒神村。狐火が頻繁に目撃されることから「狐火集落」とよばれる村のはずれに西野真之一家が住んでいました。

その西野家で、長女・愛美の遺体が発見されました。

第一発見者は父・真之です。

愛美は当日、一人で家にいたとされ、他の家族は外出していました。

西野家は、事件発生時、1階北側の窓以外はすべての扉・窓が施錠されていました。

家の周辺は雨でぬかるんでいて、地面の上の移動すれば必ず足跡がつく状況でした。しかし、唯一開いていた北側窓付近の地面には、足跡がありませんでした。

さらには、南側のリンゴ園で作業をしていた女性が、事件発生前後に西野家に出入りした不審な人物はいないことを証言しています。

つまり、状況的に西野家は密室状態だったのです。

他に西野家に出入りした人間がいないということで、第一発見者の真之が容疑者とされます。

そこで、真之の妻から弁護を依頼された弁護士青砥と防犯コンサルタント榎本が登場し、西野家が本当に密室だったのか、外部の人間が西野家に侵入し、足跡を残さずに逃亡する手段はなかったのかを捜査することになります。

 

感想

 

今回の密室の謎を解くには、密室に対する発想の転換が必要です。

「犯人はどうして現場を密室に仕立てたかったのか」と考えるのが普通です。

密室にすることで、捜査の筋を自分からそらすことが、通常の犯人の目論見だからです。

しかし今回、榎本は「犯人は現場を密室にはしたくなかったのではないか」と考えます。

この発想の転換がなければ、真相に行きつくことはできなかったかもしれません。

終盤で真相が明かされますが、犯人の心理は想像もできないほど悲しいものです。

自分だったらどうするだろうか?同じような心境になってしまうだろうか?と考えさせられる作品でした。

 

榎本のポリシー

 

一つ、気になったことがあります。

前作の硝子のハンマーでは、榎本は「殺人」という罪について、「許せない」と、こだわりを見せていたと思います。

ですが、今回も殺人事件であることは変わらないのに、そのこだわりは見えませんでした。

前作と今作では動機が違うので、動機によっては情状酌量の余地があると考えるのが、榎本のポリシーなのかもしれませんね。

 

 

 

防犯探偵榎本シリーズ

 

⇒ 1作目 硝子のハンマー あらすじ・感想

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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それでは、また別の記事でお会いしましょう。

 

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