景気は、「景気が良くなる」と信じる人が多ければ良くなる!?

経済

 

父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話」という本を読みました。

 

 

経済を物語で説明した部分が面白い

 

この本は、著者であるギリシャの元財務大臣ヤニス・バルファキスさんが、娘さんに語っているような文章で綴った経済の入門書のような本です。

経済がどうしてこういう風に動くのか、ということを、非常にわかりやすく、比喩をふんだんに混じえて説明してくれています。

(※余談ですが、「ふんだんに」という言葉を使うと、「フォンダンショコラ」を思い出しませんか⁉︎)

その中でも、私が面白い!わかりやすい!と感じたのは、経済に及ぼす人間の心理を、ギリシャの古典作品で説明しているところです。

その部分だけ、ご紹介しようと思います。

 

 

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オイディプス王の話

 

経済は、人が作って人が動かしているものなので、人の考えていることに左右されるものです。

ソポクレスが書いた戯曲の中で、オイディプス王は予言に踊らされ悲劇の道を歩みます。

ライオス王という人が、「王は自分の子に殺される」という予言を授けられます。

その予言を信じたライオス王は、予言のとおりにはならないように、生まれたばかりの子供を殺すように命じます。

しかし、子供を預けられた人は幼い子を殺すのが忍びなく、山中に捨てて死んだことにします。

普通なら子供が1人で生きていけるわけもなく、死んでしまってもおかしくなかったのですが、偶然隣国の人に拾われ、なんと、その国の王の子供として育てられることになります。

それが、のちのオイディプス王です。

オイディプスは成長すると、「自分の父親を殺す」という予言を授けられます。

そうなっては困ると、育った国をあとにするのですが、その旅の道中で、ある人物に出会い、いざこざの末にその男を殺してしまいます。

実は、のちにわかるのですが、その殺してしまった男こそ、オイディプスの実の父親であるライオス王だったのです。

ライオス王は予言を信じなければ、オイディプスを手放すこともなく、このようにオイディプスに殺されることもなかったでしょう。

オイディプスは予言を信じなければ、育った国を出てライオス王にでくわし殺してしまうこともなかったでしょう。

この2人は、予言を信じ、それを回避しようと行動した結果、自ら予言を実現させてしまったのです。

同じようなことが、経済でも起こりうるのです。

 

景気の予言

 

もし多くの人が、今後の景気は良くなっていくと信じれば、お金を貯めておく必要がないので、モノを買い、会社が儲かり、給料が上がり、さらに人は多くのモノを買うようになって、実際に景気が良くなっていきます。

逆に、多くの人が、今後の景気は悪くなっていくと信じれば、お金の使い方に慎重になり、モノが売れなくなり、会社が儲からず、給料が下がり、さらに人はモノを買わなくなって、実際に景気が悪くなっていきます。

人々が景気が良くなると予言すれば、予言はそのとおりに実現し、悪くなると予言すれば、そのとおりに実現するというわけです。

まるで、予言を知ってしまったがゆえに予言を実現させてしまうオイディプス王のようですね。

 

まとめ

 

景気と一言で言っても、それを示す指標はいろいろあってわかりづらいし、ニュースでよく、景気が良いだの悪いだのとか、どうすれば景気が良くなるかということを政治家や学者が難しい言葉で論じていたりして、すごくややこしいものなんだというイメージがありますよね。

でも、人々が「景気が良くなる」と信じるだけで良くなっていくなんて、実は単純なものなのかもしれません。

この本では他にも、物語に例えて経済を説明しているところがありますので、別の記事で紹介したいと思います。

 

参考書籍

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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それでは、また別の記事でお会いしましょう。

 

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