辻村深月『傲慢と善良』を読んで

読書感想

どうも、塩ラーメンです。

こんにちは!今日は辻村深月さんの『傲慢と善良』について書こうと思います。結婚や人間関係の本質を鋭く描いたこの作品、読後の余韻がとても深かったです。まずは簡単なあらすじから紹介しますね。

あらすじ

物語は、結婚を目前に控えた「真実」という女性が突然姿を消すところから始まります。婚約者である真実を探すため、主人公西澤架は真実の過去や人間関係をたどっていきます。しかしその過程で、次第に明らかになるのは、真実だけでなく架自身の抱える「理想と現実」のギャップや、人間の持つ「善良さ」と「傲慢さ」でした。

結婚を取り巻く価値観、他人に対する優しさと自己中心的な一面、そして人間関係の本質に鋭く切り込んだ、心に残るサスペンスフルな物語です。

結婚とは、夢か現実か

この本の中心にあるのは「結婚」。架が真実の失踪を追う中で見えてくるのは、結婚に対する周囲の期待と、現実とのギャップ。辻村深月さんは、結婚に対する「幸せのゴール」という幻想を、リアルな視点で問い直しています。

読み進める中で、「本当に結婚は幸せなのか?」と何度も考えさせられました。登場人物たちの葛藤や会話が生々しく、まるで自分の周りの友人や家族の話を聞いているような感覚に陥ります。

善良でありたいという矛盾

タイトルの『傲慢と善良』が示すように、この作品は人間の中にある「善良さ」と「傲慢さ」のせめぎ合いを描いています。

善良でありたい、正しい人間でいたいという気持ちは、時に自分を守るための「傲慢さ」と紙一重。架や真実の行動が、それぞれの正義や善意に基づいているからこそ、他者との間にズレが生じ、痛みが生まれます。

心理学的に見ても、自己認識と他者認識のズレはよくあることですが、この作品ではそれがとてもリアルに描かれていて、考えさせられました。

ラストに込められた希望

ラストシーンは賛否両論かもしれませんが、私は「希望」を感じました。完璧なハッピーエンドではないものの、登場人物たちがそれぞれの現実を受け入れ、一歩を踏み出そうとする姿に救いがあります。

辻村深月さんの筆致は鋭いけれど、冷たくはない。人間の弱さや矛盾をしっかりと抱きしめながら、それでも前に進む力を与えてくれる、そんな優しさがあるんです。

読み終えて思うこと

この本を読み終えたとき、ふと妻に「結婚って何だろうね?」と聞きたくなりました(笑)。結婚している人も、これから結婚を考えている人も、そして結婚に迷う人も、きっと何か心に引っかかる部分があるはず。

『傲慢と善良』、ぜひ手に取ってみてください。自分自身や大切な人との関係を見つめ直す、素敵なきっかけになると思います。

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