やる気を出させる上手なご褒美のあげ方【選択の科学】

心理

 

 自分を奮い立たせたい時、子どもに何かをしてほしい時など、ご褒美をエサにすることがあると思います。「これができたら○○がもらえるから頑張ろう」というふうに。そのご褒美の上げ方について、上手いやり方と効果の出にくいやり方があります。

 

 

 本書で紹介されているあるテストがあります。

 皆さんも、自分だったらどう感じるか、考えながらお読みいただきたいと思います。

問1.今から1か月後に1万円もらうのと、2か月後に1万2千円もらうのとでは、どちらを選びますか。

問2.それでは、今1万円もらうのと、1か月後に1万2千円もらうのとでは、どちらを選びますか。

 どうでしょうか?二つの問は、時期が違うだけで、もらえる金額(本書ではドルですが、わかりやすいように日本円になおしています)については、変わりないのに、感じ方が違ったのではないでしょうか。

 実際に、問1ではほとんどの人が2千円余分にもらうために待つ方を選んだの対して、問2では、1か月待つよりも、2千円少ない金額を今もらう方をほとんどの人が選びました。

 人間は、問1のような場合は、熟慮できるようになっているため、1か月余分に待つことでより大きな利益が得られることを論理的に考えて判断できます。

 しかし、問2のように、今現在得られるご褒美をちらつかされると、熟慮することができず、感情や感覚に左右され、自制心を働かせることができなくなってしまいます。その結果、1か月待つことともらえたはずの2千円を失うことを合理的に比較することをしないまま、判断してしまいがちです。

 上記のテスト結果から見えてくる人間心理を逆に利用することで、やる気が出るような上手なご褒美のあげ方を工夫してみましょう。

スポンサーリンク

 つまり、人間は、「遠い時期の大きな利益」よりも「近い時期の小さな利益」に対して、どうしても魅力を感じてしまうのですから、達成したいことがある場合、「全て完了したら100%のご褒美」ではなくて、「10個のステップのうち、1ステップクリアごとに10%のご褒美」をあげるようにする方が、効果的だということです。

 それも、「全て完了」が1か月かかって、「10ステップのうち1ステップ目」が1週間かかるというようなステップの設け方では、問1のように熟慮システムが働いてしまいますので、ステップはなるべく「今日とりかかったら今日のうちに終わる」くらいに細かい分け方にした方が良いと思います。

 勉強でいえば、読むべき本が10冊あるとして、すべて10回読むことを目標にしたとします。その場合は、10冊×10回=100ステップ(1冊を1回読んだら1ステップ)とした方が、ご褒美のあげ方として効果的なのです。

 上記の問1問2のテストの場合では、もらえるはずの2千円を失う選択を人生のうちに何度も繰り返してきている人は、どデカい損失を積み重ねてしまっているということなので、一度よく考えてみるべきですが、自制心を鍛えるのはとても難しいことなので、それを逆手にとって、脳になるべく快適な状態でやる気を出させる方法に利用してしまいましょう。

 


 

 

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

感想・意見・指摘などは、コメントに残していただけるとありがたいです。

ツイッターで、ブログの更新情報などお知らせしています。

【https://twitter.com/saltramen_book】

それでは、また別の記事でお会いしましょう。

 

スポンサーリンク

コメント

タイトルとURLをコピーしました